人材育成の意外な落とし穴
最近、書店に行ったら、「いる社員・いらない社員」という見出しの雑誌を見つけた。でも、この見出しに少し違和感を覚えた。その理由は、会社が面接を経て採用しておきながら、一度会社に入社し、何年か経ってから「いらない」とは、あまりにも都合がよすぎるという点だ。
結局のところ、会社にとって必要な人材、つまり「いる社員」に育てることができなかったという意味では、会社や上司にも責任があると思う。でも、それに気づかないリーダーが多い。もちろん、最初からその会社に合わないと感じた人は次へ転職すればいいし、おそらく、そんな人は、面接の時に採用されていなかったと思う。
次に、人材育成をきちんとしたうえで「いらない社員」という判断をしたのかどうか。もし、会社にとって必要な人材を育てることができていないのだとすれば、それは、現場のマネージメントやリーダシップがしっかり発揮されていなかったのが原因ではないかと思う。例えるなら、料理の素材(社員)は新鮮なのに、料理人(社長、幹部)がその素材の上手な生かしかたを知らないせいで、料理が美味しくなくなってしまうことに似ている。
また、現場のマネージャーを監督する人たちが、その人の力量をしっかり把握していなかった可能性も高い。優秀な「人財」がすぐ辞めてしまう離職率の高い会社の場合、それが多い気がする。
3つ目は、会社やリーダーとの信頼関係だ。会社が長く続き、社員から愛されるのには理由があると思う。それは、社員が自分の会社に誇りを持ち、リーダーを信頼しているかどうかだと思う。
もし、リーダーが社員をいつでも社員を取り替えられるものとして考え、単純に新しい人を雇えばいいと考えているのであれば、それは会社にとってとても危険だと思う。なぜなら、会社のために、また、お客様のために、一生懸命に働く社員がいなくなってしまうからだ。だだ単に、給料のためだけに働き、その会社での自己成長もあまり期待できないと思う。それでは、一生経っても社員は「人財」にはならず、ただ単に日常業務をこなしているだけの「人材」になってしまう。
人材を人財に変える方法
では、人材を人財に変えるにはどうしたらいいか?
それは、一言で言えば、「リーダーの社員へのコミュニケーションの仕方を変え、信頼関係を築くこと」だと思う。
たとえば、皆さんのリーダーは社員を励しているだろうか?一人ひとりのいいところを見つけて、それを本人に伝えているだろうか。この会社で成長してほしいと思って人材育成を行っているだろうか。ミッションを熱く語り、それをチームで共有できているだろうか。その熱量や情熱を感じとってもらえてるだろうか。人を惹きつける能力、すなわち「カリスマ」があるだろうか。それによって、リーダーについて行きたいと思う社員を創れているだろうか。
結局のところ、リーダーがしっかりコミュニケーションをとり、その人を人材ではなく、「人財」として接すれば、社員も自然とリーダーを信頼し、協力するようになる。だから、社員を「いる」・「いらない」と判断する前に、リーダーは上記で述べたことが、しっかりできているかどうかを自分自身に問いかけなければいけないと思う。
なぜなら、社員に、自分が働いている会社にいかに「いたい」と思ってもらえるかが、結果的に「人材」を「人財」に変えるからだ。逆に言えば、自分たちのやる仕事に、愛着やアイデンティティーを持てなければ、それはただの人材で終わり、人財になることはない。
大切なことは、感情で人を動かすことはできるが、そもそも社員へのコミュニケーションで信頼関係が築けなければ、感情は湧かないとうことだ。このことをリーダーは常に意識して「人財育成」をしていかないといけないと思う。
0コメント